事業計画

Ⅰ.事業の概要

1.目的及び事業の概要

都民の生涯にわたるスポーツ等の普及振興を図り、もって、都民の文化的生活の向上に寄与することを目的として、東京都スポーツ文化事業団は以下の事業を行う。

(1)スポーツ等の振興

(2)東京都及びその関係団体から受託するスポーツ等に関する事業

(3)東京都の施設等の管理運営

(4)その他この法人の目的を達成するために必要な事業

(5)上記各項目の事業の推進に資するための収益事業等

2.令和5年度事業運営方針

当事業団は、埋蔵文化財事業の他団体への移管に伴い、令和5年度からスポーツに特化した団体となる。今後東京2020 大会を通じて得られた、施設の整備やバリアフリーの進展など、充実したハード面とともに、スポーツ実施気運やパラスポーツへの関心の高まりといったソフト面のレガシーを着実に受け継ぎ、東京都が掲げる「スポーツフィールド・東京」の実現に向けて、更に各種取組を推進していく。

当事業団が指定管理する都立スポーツ4施設については、令和4年度に新たな企画等を提案することにより、令和5年度からの次期指定管理期間も引き続き受託することができた。今後も指定管理者として蓄積してきたノウハウを最大限に生かして適切に管理運営していく。

また、スポーツ実施率の向上や大会レガシーの活用等を目的に実施している「スポーツ東京案内事業」については、WEB サイト「SPOPITA」のコンテンツ拡充や指導者派遣メニューの拡大を進めるなど、都民がいつでも気軽にスポーツを行うことができる環境整備を進めていく。合わせて、専門的な知識や実践経験の豊富な事業者を活用し、今まで不足していたメディアリレーションを強化することで、当事業団の広報力の強化と認知度の向上を図っていく。

さらに、東京都の「TOKYO スポーツレガシービジョン」を踏まえ、都立スポーツ施設等の戦略的な活用を促進するため、都立スポーツ全18 施設について、一体的な広報や施設横断的なイベントの企画・調整、施設の利用案内などを新たに実施していく。

その他、スポーツムーブメント醸成事業、国際交流事業などを引き続き効果的に展開するとともに、都立特別支援学校活用促進事業では、対象校を増やして実施し、パラスポーツの振興を図っていく。また、シニア世代の地域コミュニティにおける交流の促進を図るため、東京都シニア・コミュニティ交流大会を実施する。

加えて、2025 年には国内で初めてデフリンピックが開催される。当事業団においては2025 年デフリンピック大会の準備・運営事業の一部を担い、デフスポーツの普及啓発に寄与していく。

Ⅱ.事業別概要

1.公1事業(スポーツ活動等の振興、普及啓発に関する事業)

(1)スポーツ活動等に親しむ場の提供事業

  • 東京体育館、駒沢オリンピック公園総合運動場、東京武道館及び東京アクアティクスセンターについては、引き続き5年間の指定管理を受託した。これまでに培ったノウハウを発揮しながら、安全の確保に取り組みつつ、東京のスポーツ振興を支える中核的施設として、指定管理コンソーシアムを組む団体等とともに充実したサービスの提供を図る。
  • 東京体育館においては、「ISU 世界フィギュアスケート国別対抗戦2023」、「2023 ワールド車いすラグビーアジア・オセアニア チャンピオンシップ」等の国際大会のほか、「全国高等学校バスケットボール選手権大会」、「全日本バレーボール高等学校選手権大会」及び「天皇杯・皇后杯全日本卓球選手権大会」等、東京のスポーツの拠点としてふさわしい競技大会や行事の運営をサポートする。
区分 施 設 名 指定管理者 指定管理期間
体育施設 東京体育館 (公財)東京都スポーツ文化事業団グループ 令和5年4月1日~
令和10年3月31日
構成員 代表団体:当事業団
(株)ティップネス
(株)オーエンス
駒沢オリンピック公園総合運動場 (公財)東京都スポーツ文化事業団グループ 同   上
構成員 代表団体:当事業団
(株)オーエンス
(一社)東京都レクリエーション協会
東京武道館 (公財)東京都スポーツ文化事業団グループ 同   上
構成員 代表団体:当事業団
(株)ティップネス
(株)東洋実業
東京アクアティクス
センター
事業団・オーエンス・セントラルスポーツ・都水協グループ 同   上
構成員 当事業団
(株)オーエンス
セントラルスポーツ(株)
(公財)東京都水泳協会
  • 健康体力相談事業は、感染症拡大の状況に留意しつつ、一般社団法人渋谷区医師会の協力のもと、東京体育館において、「全身持久力測定」、「筋力測定」及び「栄養相談」を実施する。

(2)スポーツ活動等に親しむことができる機会の提供事業

  • スポーツ振興事業は、東京都のスポーツ振興施策に基づき、子供から高齢者まで、また障害の有無や体力の程度にかかわらず、だれもが生涯を通じてスポーツに親しみ、スポーツを楽しむことができるよう先導的・広域的な取組として96 事業を実施する。
    • 東京体育館「シニアのためのスポーツクリニック」、「パラスポーツ体験講座」、「スポーツボランティア入門講座」等27事業
    • 駒沢オリンピック公園総合運動場「親子で楽しむスポーツカーニバル」、「ジュニアサッカースクール」、「パラスポーツシンポジウム」等14 事業
    • 東京武道館「親子の武道体験」、「シニアのための武道体験」、「障害のある人のための武道体験」、「武道館でBUDO(仮称)」等34 事業
    • 東京アクアティクスセンター「アクアスイミングランキング」、「運動不足解消のための水中運動講座」、「はじめての障害者スイミング・水泳ボランティアセミナー」等21 事業
  • 自主事業は、指定管理者として、各施設の特性を生かし21 事業を実施する。
    • 東京体育館「アスリートによる部活動クリニック」、「スポーツビジネスセミナー」等10 事業
    • 駒沢オリンピック公園総合運動場「3x3(バスケットボール)カップ」、「陸上記録会」等6事業
    • 東京武道館「有名選手・指導者ふれあい事業」、「武道&茶道体験事業」等4事業
    • 東京アクアティクスセンター「再開業イベント」1事業
  • 周辺連携事業は、地域の魅力向上や活性化に寄与していくため、周辺施設や地域と連携し48 事業を実施する。
    • 東京体育館「国立競技場大規模イベントとの連携」、「神宮外苑地区ウオーキングイベントへの協力」等16 事業
    • 駒沢オリンピック公園総合運動場「アーバンスポーツ初心者講習会」、「防災フェスタ」等7事業
    • 東京武道館「東綾瀬公園との広報連携」、「スポーツの日における近隣地区との連携」等12 事業
    • 東京アクアティクスセンター「ニュースポーツイベント」、「ガイドツアー」等13 事業
  • スマイル自主事業は、都民がスポーツを楽しむきっかけづくりや、多様な団体との連携、スポーツを通じた地域貢献などを目的とし、「島しょ地区スポーツ文化普及事業」等の事業を実施する。
    広報活動では、昨年度決定した事業団のマスコットキャラクター「SUSIE(スージー)」を活用し、都民にとってより親しみやすく分かりやすい情報発信に取り組む。また、定期刊行誌「スマイルスポーツ」を年4回発行するほか、リニューアルした事業団ホームページの更なる充実やFacebook、Twitter 等SNS による情報発信等により、アクセシビリティの向上を図る。
  • スポーツムーブメント醸成事業として、スポーツ実施率の向上や東京2020大会のレガシーの活用等を目的に実施している「スポーツ東京案内事業」を更に充実させ、WEB サイト「SPOPITA」におけるスポーツ施設・スポーツイベントの情報充実に加え、様々なスポーツ関連コンテンツを拡充していく。さらには、多種多様なメニューを提供することで、区市町村等に対する指導者派遣を積極的に進めていく。合わせて、メディアリレーション及び広報戦略の知見を有する民間の戦略広報アドバイザーと連携し、当事業団の広報力の
    強化と認知度向上を図っていく。
    また、東京2020大会の開催がもたらしたスポーツ気運の高まりを引き継ぐ「スポーツ気運継承事業」を引き続き実施し、「SPOPITA」と連動した取組として、都民のスポーツイベント等への参加を促進するキャンペーンを展開する。
    都民の健康づくりや東京都におけるスポーツ実施率の向上を目的として、当事業団が主体となって実施している「スポーツフェスタ」や「TOKYO ウオーク」を引き続き行っていく。
    また、障害のある方や障害者スポーツ競技団体等が、身近な地域でスポーツ活動ができるよう、都立特別支援学校をパラスポーツの拠点のひとつとして活用する「都立特別支援学校活用促進事業」は、対象校を31 校に増やして引き続き実施する。
    さらに、企業におけるスポーツの取組に対する意欲やスポーツ実施率の向上に寄与することを目的として、引き続き、「スポーツ推進企業 Enjoy Sports促進事業」を都と共催で実施する。
    当事業団の指定管理施設を含む、都立スポーツ施設の予約等が一体的に行える「東京都スポーツ施設予約システム」の管理・運用を適切に実施する。
    ハード面のレガシーであるスポーツ施設においては、スポーツを観戦し応援する気運の継続及び「スポーツフィールド・東京」の実現を図るため、施設にAI 機能搭載カメラ等を導入し、大会等の映像を配信する「都立スポーツ施設映像配信システムの構築・運営」を都と共同で実施する。
    また、シニア世代による地域コミュニティ等での交流を促進する「東京都シニア・コミュニティ交流大会」を実施する。
  • 都立スポーツ施設連携促進事業については、「SPOPITA」を活用した都立スポーツ全18 施設の発信力強化、コンシェルジュ窓口の設置による利用者ニーズ対応力の強化、都立スポーツ施設周遊バスツアーを通じた一体的な取組などにより、各施設のネットワークを活かしたスポーツ振興を図っていく。
  • スポーツの日記念事業については、東京体育館、駒沢オリンピック公園総合運動場、東京武道館及び東京アクアティクスセンターにおいて、10 月に実施する。各施設のトレーニングルーム等を無料開放するほか、新体力テストやスポーツ・武道の体験指導等を行う。

(3)スポーツ国際交流事業を通じた次世代のスポーツ選手の育成

  • スポーツ国際交流事業では、「2023 東京国際ユース(U-14)サッカー大会」及び「2023 ジュニアスポーツアジア交流大会」を開催する。各大会には被災地4県からの選手団を招聘するほか、被災地との交流促進の観点から、ユースサッカー大会については福島県のJヴィレッジで開催する。
    さらに、東京の優れた柔道指導者等を海外都市へ派遣する「柔道指導者派遣事業」を実施する。

2.公2事業(2025年デフリンピック大会の準備・運営事業)

2025 年デフリンピック大会開催に向けた準備・運営事業

  • 2025 年デフリンピック大会の準備・運営事業を通じて、将来的に国際大会や競技団体の支援に活用可能な大会運営のノウハウ・経験等を蓄積するため、大会の招致主体である一般財団法人全日本ろうあ連盟及び大会運営を支援する東京都と連携し、準備業務を進めていく。
  • 令和5年度は、国際スポーツ大会の運営組織として適切なガバナンス体制を速やかに構築するとともに、 大会成功に向けた基礎プランニングフェーズとして、大会の準備・運営がスムーズに実施できるよう、大会運営に必要な各種計画を作成する。
  • 都のガイドラインを踏まえ、適正性、公平性等を確保したガバナンスの構築

    • デフリンピック部署におけるコンプライアンス委員会の設置、コンプライアンス研修の継続的な実施
    • 利益相反ポリシーの作成
    • 内部通報窓口、懲戒処分審査体制の整備
  • 大会の確実な開催に向けた競技会場等の借用調整、競技運営方法等の検討

    • 競技要項の作成、競技・会場運営計画の検討、会場所有者及び競技団体との連絡調整
    • 輸送・宿泊計画の検討
    • 開閉会式の企画・検討
    • 表彰式、メダル製作の検討
    • 会場警備、飲食、医療、ドーピング、清掃等各種会場オペレーションの検討
  • 当事業団が指定管理する東京体育館、駒沢オリンピック公園総合運動場及び東京武道館については、大会の競技会場として使用される予定であり、指定管理者制度において培った運営のノウハウ・経験や、国内競技団体等と連携した国際交流事業や各種大会を実施してきた豊富な経験を生かし、大会の円滑な開催に向けて全日本ろうあ連盟や競技団体等との調整を行う。

3.収益事業等

各施設において引き続き売店、自動販売機、駐車場、駐輪場の運営などの利用者サービス事業を実施するとともに、スポーツ活動の振興に係る施設の貸出しの空き枠を活用し、イベント等公益目的事業以外の貸出しを実施する。