公益財団法人
東京都スポーツ文化事業団

お知らせ

2012.04.25

平成24年3月に開催された東京体育学会シンポジウムで、東京都のスポーツ医・科学サポート事業が取り上げられました。

平成24年3月10日、国士舘大学世田谷キャンパスにて「東京体育学会第3回大会」が開催されました。

 学会のシンポジウムで、東京都のスポーツ医・科学サポート事業が取り上げられました。
 シンポジウムでは「行政と体育系大学におけるスポーツを支える試み」というテーマで、山口県体育協会の山田敢一氏、当財団の砂川力也氏、日本体育大学の袴田智子氏の3名が発表しました。


座長の平野先生【国立スポーツ科学センター】

 冒頭で、座長の平野裕一先生(国立スポーツ科学センター)は、「山口県では、昨年開催された山口国体に向けて、長期にわたり精力的なスポーツ医・科学サポートが行われ、成果をあげられたと聞いています。まずそのお話を山口県体育協会の山田先生に伺います。次に、来年は東京で国体が開催されますが、現在、東京都のスポーツ医・科学サポートを東京都から請けおって進めている東京都スポーツ文化事業団の砂川先生に、組織としてどのように取組んでいるのかを伺います。最後に、東京都の医・科学は体育大学がサポートしていますが、その中身について日本体育大学の袴田先生にお話しして頂きます。我々研究者あるいは研究組織は、この様な試みがどのような位置づけとなるのか? また、どのような利益が得られるのか?などについてお考えいただくことが出来ればと思います。」とし、シンポジウムがスタートしました。


山田先生【(財)山口県体育協会】

 最初に、"やまぐちスポーツ医・科学サポートプログラム"について山田先生が紹介されました。平成16年から飛躍的な競技力向上と県民の豊かなスポーツライフの実現を支援するスポーツ医・科学サポート体制の確立を基本目標とし、どのように事業を展開していったかについてお話がありました。その中で、山口県では当初医・科学の基盤がなく、専門家の人材育成(スポーツドクター、トレーナー等)からはじめたこと、各競技団体の理解を得るまで多くの時間を費やしたこと、医・科学センターをつくって進めたこと、競技力向上につながったことが認められ、国体後も事業継続が決まったことを発表されました。


砂川力也【(財)東京都スポーツ文化事業団】

 次に、当事業団の砂川が平成21年度にスタートした東京都における具体的な取組とその成果についてお話しさせていただきました。「東京都では施設を持たず、体育系大学が連携してサポートをするという、日本初のスタイルで進めている」とし、東京都が持つ豊富な資源(大学の測定器具、場所、人材等)を有効利用しているとお話しました。対象は、大学でのサポートを受けている一部のサポート対象選手だけではなく、すべての競技団体の選手や指導者に向けて「講習会」「人材派遣」「スポーツ冊子の企画・発行・配布」をしていること、一般の方々に向けてWeb上にサポートのレポートや講習会の様子を随時アップしていること、冊子をダウンロードできるようにするなど、広報活動や医・科学情報の発信ができるしくみをつくっていると報告させていただきました。また昨年、外部委託により事業評価が実施されましたが、評価は「サポートの効果が現時点で認められること、今後サポートを継続することで一層効果が期待される」という評価であり、スタートしてわずか3年ではあるが効果が出てきていると報告いたしました。


袴田先生【日本体育大学】

 最後に、東京都の大学で連携したサポート内容について、日本体育大学の袴田氏が発表されました。カヌー・スラロームや陸上長距離などの具体的なサポートの実践例について、写真やデータを交えながら紹介されました。都内の体育系大学がサポートを行うメリットは、専門的な測定や研究機材が整っていること、選手の移動に時間がかからないこと、大学の専門指導者から質の高いアドバイスやトレーニングへの協力が得られることなどで、大学における環境資源や人的資源を活用することは有効なサポートにつながるとしました。そして、大学側の(1)コーディネーター(サポート全体の調整)や(2)インタープリテーター(スポーツ科学の立場から内容の提案・測定・説明フィードバック)(3)テクニカルアドバイザー(専門的指導やトレーニングへのアドバイス)の役割が非常に重要と説明されました。


討論

 討論の時間では、「高校生選手に対し、データのフィードバックを行う際に、どのデータを比較データとして使うのか?」とフロア−から質問がありました。山田氏は「山口県のトップ選手とのデータを比較し指導者に提言している。また中央の助言を得ている」とし、砂川は「トップアスリートとの比較は大切。今後全日本強化選手のデータと比較していきたいが、可能でしょうか?」と座長の平野先生に尋ねるシーンがありました。平野先生からは「今年中にはレファレンスになるデータがつくれると思う」とお話がありました。袴田先生は「高校生選手にとって必ずしもトップ選手のデータが目指すべきデータになるのかどうかはわからない。同じ競技、同じような体格の少し上の選手(大学生)のデータなどを使っている」と答えました。平野先生からシンポジストに対し「国体後もジュニア育成に役立てるにはどうしたらいいか?」と投げかけられました。山田氏は「やってきたことをベースにし、質を落とさず、何が必要で何が不要かを見極め、予算をとっていく。課題は若手スタッフをどう育成していくのか? 選手、指導者、保護者の意識をどう変えるかが重要。そうしないと成年になってから活躍する選手にならない。」と答えました。砂川は「大学や各関係者の熱意が、競技団体との信頼を得て、成果が出てきていると感じている。ただ、医科学サポートの成果が本当に実感できるには時間が必要。ナショナルの例を見ても明らか。今後さらに発展していくには、継続していくこと」と回答。袴田氏は「サポートしているジュニア選手がナショナルに進み、さらに世界で活躍していくようにしていくため、データを外にアウトプットしていくことが結果として財産になる」と答えました。

 学会当日は100人近い参加者により盛況な運びとなりました。参加された方々、そして学会主催に携わった関係者の方々に心より感謝申し上げます。





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