T.事業の概要
1.目的及び事業の概要
都民の生涯にわたるスポーツ等の普及振興を図るとともに、東京都内における埋蔵文化財の保護を図り、もって、都民の文化的生活の向上に寄与することを目的として、東京都スポーツ文化事業団は以下の事業を行う。
- (1)スポーツ等の振興
- (2)埋蔵文化財の調査研究、保存、公開活用及び知識の普及
- (3)東京都及びその関係団体から受託するスポーツ等に関する事業
- (4)東京都の施設等の管理運営
- (5)その他この法人の目的を達成するために必要な事業
2.令和2年度事業運営方針
当事業団が指定管理するスポーツ5施設及び東京都立埋蔵文化財調査センターについては、指定管理者として蓄積してきたノウハウを最大限に生かして適切に管理運営する。令和2年7月から9月にかけて開催される東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、東京体育館において卓球、東京辰巳国際水泳場において水球、東京アクアティクスセンターにおいて水泳競技が実施されるほか、駒沢オリンピック公園総合運動場はサッカー、東京武道館は空手の公式練習会場としてそれぞれ使用される。これまでも都及び大会組織委員会と連携し、万全の準備を行ってきたが、本年は競技大会本番の運営を全力でサポートすることにより、大会の成功に貢献する。
大会後における東京体育館の再開館に向けて、関係各機関との調整、施設設備や備品の整備等、必要な準備を着実に実施する。再開館に先立ちリニューアルオープンイベントを実施し、施設の魅力を広く発信するとともに都民利用の促進につなげる。
また、大会のレガシーを次世代に継承していく事業として、アスリート・施設・都民をつなぐ「スポーツ東京案内事業」を新たに実施する。本事業では、スポーツに関わる情報提供、問合せ対応、指導者の派遣等を行い、多様化する都民のニーズに応えることで、スポーツの裾野拡大やスポーツ実施率の向上に貢献する。
スポーツムーブメント醸成事業、国際交流・競技力向上事業などを引き続き効果的に展開するとともに、都立学校活用促進モデル事業は、規模を拡大して実施する。また、シニア世代の地域コミュニティでの交流の促進を図るため、昨年度新たに実施したシニアコミュニティ交流事業を本年度も実施する。
なお、東日本大震災の記憶を風化させないために、7年間にわたって「1000km縦断リレー」を実施してきたが、本年度は「東京国際ユース(U-14)サッカー大会」を福島県のJヴィレッジで実施することにより、事業団全体として引き続き被災地復興の一助とする。
当事業団の公益事業の柱の一つである埋蔵文化財事業に関しては、東京2020大会に向けた各種事業が終息し、都や国の同大会関係以外の事業が動き出した結果、住宅建替事業、道路事業、各種施設整備事業などに伴う調査が新たに予定されている。こうした調査事業について、都民や開発事業者の理解を得ながら発掘調査、整理調査及び調査報告書の作成を着実かつ円滑に実施していくとともに、埋蔵文化財への理解を深めるための広報・普及活動を推進する。
なお、埋蔵文化財事業に係る東日本大震災からの復興支援事業に関しては、令和元年度をもって事業が終了した。
U.事業別概要
1.公1事業(スポーツ活動等の振興、普及啓発に関する事業)
- (1)スポーツ活動等に親しむ場の提供事業
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東京体育館、駒沢オリンピック公園総合運動場、東京武道館、東京辰巳国際水泳場、並びに令和2年3月に開業した東京アクアティクスセンターについては0、指定管理者制度において培ったノウハウを発揮しながら、安全の確保に取り組みつつ、東京のスポーツ振興を支える中核的施設として、充実したサービスの提供に努める。特に、東京体育館、東京辰巳国際水泳場、東京アクアティクスセンターについては、東京体育館を会場として実施する公式文化プログラムを含め、東京2020大会の運営を全力でサポートする。
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東京体育館においては、平成30年7月以来の再開館に向けて、関係機関との調整、設備や備品の整備等を着実に行う。また、再開館後は「全日本バレーボール高等学校選手権大会」や「TOKYO OPEN 2021東京卓球選手権」など、休館前から東京体育館で開催されていた大会を再び開催するなど、東京のスポーツの拠点としてふさわしい競技大会や行事の運営をサポートする。
- 各施設の稼働率の目標値は、平均で91.7%とする。
区分 |
施 設 名 |
指定管理者 |
指定管理期間 |
体育施設 |
東京体育館 |
(公財)東京都スポーツ文化事業団グループ |
構成員 |
代表団体:当事業団 |
(株)ティップネス |
(株)オーエンス |
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平成28年4月1日〜 令和5年3月31日 |
東京武道館 |
(公財)東京都スポーツ文化事業団グループ |
構成員 |
代表団体:当事業団 |
(株)ティップネス |
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同 上 |
東京辰巳国際水泳場 |
オーエンス・セントラル・都水協・事業団グループ |
構成員 |
当事業団 |
(株)オーエンス |
セントラルスポーツ(株) |
(公財)東京都水泳協会 |
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同 上 |
駒沢オリンピック公園 総合運動場 |
(公財)東京都スポーツ文化事業団グループ |
構成員 |
代表団体:当事業団 |
(株)オーエンス |
(一社)東京都レクリエーション協会 |
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平成31年4月1日〜 令和5年3月31日 |
東京アクアティクス センター |
事業団・オーエンス・セントラルスポーツ・都水協グループ |
構成員 |
当事業団 |
(株)オーエンス |
セントラルスポーツ(株) |
(公財)東京都水泳協会 |
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令和2年3月10日〜 令和5年3月31日 |
文化施設 |
東京都立埋蔵文化財 調査センター |
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平成28年4月1日〜 令和3年3月31日 |
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休止していた健康体力相談事業は、一般社団法人渋谷区医師会の協力のもと、東京体育館において、「全身持久力測定」及び「筋力測定」を各31回、「栄養相談」を23回、再開館後に実施する。
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当事業団の指定管理施設を含む、都立スポーツ施設の予約等が一体的に行える「東京都スポーツ施設予約システム」の管理・運用を適切に実施する。
- (2)スポーツ活動等に親しむことができる機会の提供事業
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スポーツ振興事業は、東京都のスポーツ振興施策に基づき、子供から高齢者まで、また障害の有無や体力の程度にかかわらず、だれもが生涯を通じてスポーツに親しみ、スポーツを楽しむことができるよう先導的・広域的な取組として64事業を実施する。
- 東京体育館「障害者スポーツ入門セミナー」等12事業
- 駒沢オリンピック公園総合運動場「親子で楽しむフットサル」、「駒沢ジュニアサッカースクール」等19事業
- 東京武道館「女性のための護身術」、「シルバーのための武道体験」等33事業
- 施設活用自主事業は、指定管理者として、各施設の特性を生かし17事業を実施する。
- 駒沢オリンピック公園総合運動場「駒沢6時間耐久リレーマラソン」、「バレーボールコミュニティ」等14事業
- 東京武道館「有名選手・指導者ふれあい事業」等3事業
- スマイル自主事業は、都民がスポーツを楽しむきっかけづくりや、スポーツを通じた地域貢献を目的とし、「ジュニアサッカーフェスティバル」などの事業を実施する。
広報活動として、定期刊行誌「スマイルスポーツ」を年4回発行するほか、事業団ホームページの充実やFacebook、Twitterによる情報発信等により、アクセシビリティの向上を図る。
- 地域支援事業においては、広域スポーツセンターが地域スポーツクラブの設立・育成の支援等を行う。
- スポーツムーブメント醸成事業として、都民の健康づくりや東京都におけるスポーツ実施率の向上を目的として、「TOKYOウオーク2020」などの事業を都と共催で実施する。
また、アスリート・施設・都民をつなぐ機能を構築する「スポーツ東京案内事業」を新たに実施する。今年度は、都民からのスポーツに関する問合せ窓口の設置及び区市町村等への指導者派遣を実施するとともに、次年度以降の拡充に向けて準備を行う。
障害のある方や障害者スポーツ競技団体等が、身近な地域でスポーツ活動ができるよう、特別支援学校を障害者スポーツの拠点のひとつとして活用する「都立学校活用促進モデル事業」を、25校に拡大して引き続き実施する。
また、昨年度に引き続き、シニア世代による地域コミュニティ等への参加を促進する事業を実施する。
- スポーツの日記念事業については、駒沢オリンピック公園総合運動場、東 京武道館及び東京辰巳国際水泳場において、従前どおり10月に実施する。各施設のトレーニングルーム等を無料開放するほか、新体力テストやスポーツ・武道の体験指導等を行う。東京体育館においては、再開館時のリニューアルイベントとして実施する。
- (3)競技力向上事業、スポーツ国際交流事業を通じた次世代のスポーツ選手の育成
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競技力向上事業では、オリンピックをはじめ国際大会等で活躍できる東京都選手の育成・強化及び指導者の資質向上を目的とした「テクニカルサポート事業」により競技力向上を図る。具体的には都内体育系大学等と連携し、高校生選手等に対して競技種目特性に応じた医・科学的サポートを行う大学連携事業のほか、指導者講習会及び実践型ワークショップ等を実施する。
また、アスリートが生活に不安を抱えることなく競技を継続できる環境を整備することを目的とした情報提供等を行う「アスリート・キャリアサポート事業」を実施する。
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スポーツ国際交流事業では、「2020東京国際ユース(U-14)サッカー大会」を開催する。本年度も被災地4県からの選手団を招聘する他、復興支援の観点から、本年度は会場を東京から福島県のJヴィレッジに移して実施する。なお、本年度の「ジュニアスポーツアジア交流大会」は、東京2020大会開催時期と重なるため、休止する。
また、東京の優れた柔道指導者等を海外都市へ派遣する「柔道指導者派遣事業」を実施する。
公2事業(埋蔵文化財の調査研究、保存、公開活用及び知識の普及に関する事業)
- (1)埋蔵文化財の調査研究及び保存
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- 埋蔵文化財を適切に調査研究、保存するため、開発事業者の理解を得ながら埋蔵文化財発掘調査事業を実施する(継続事業19件、新規事業6件を予定)
- 人事交流事業として東京都教育庁に調査研究職員を派遣する。
- (2)埋蔵文化財の公開活用及び知識の普及
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東京都立埋蔵文化財調査センターの指定管理事業では、引き続き、質の高い利用体験の提供を行う。
また、埋蔵文化財調査事業と一体的な運営を継続するとともに、これまでに培ったノウハウと専門性を最大限に発揮して、質の高いイベントの提供や、利用者目線に立った施設改善などを図りながら、埋蔵文化財の公開活用及び知識の普及に努めていく。
- 都内の小学校への出前授業を実施し、子供たちの埋蔵文化財に関する興味を喚起するとともに、学校教育における体験授業の充実を図る。
- 都内区市町村や教育機関などと連携し、体験事業や実習などを実施する。
- 企画展示では、「リケイ考古学」をテーマに、最新の科学技術によって明らかになってきた考古学の新しい知見の紹介などを通じて、考古学のもつ「理科系」の側面について紹介する。また、特別展示として、東京文化財ウィークに合わせ、指定文化財などを期間限定で公開し、多様な収蔵品の紹介を行う。常設展示では、多摩ニュータウン遺跡群の調査成果を年代順に展示し、分かりやすく紹介する。
- 文化財講演会や親子体験教室などの継続事業のほかに、若手職員による講演会や、企画展示と連動するワークショップなどの新規事業を開催するほか、利用者の希望が多い低学年向けの事業数を増やすなど、利用者のニーズに応える事業展開を行う。
- 展示施設では、引き続きユニバーサル化を推進する。
- 事業の情報発信誌である「たまのよこやま」を年4回発行するほか、各種の広告やSNSなどのウェブメディアを活用し、更なる認知度向上に努める。
3.収益事業等
各施設において引き続き売店、自動販売機、食堂、駐車場の運営などの他、新たに来場者用のコインロッカーを整備する等の利用者サービス事業を実施するとともに、スポーツ活動の振興に係る施設の貸出しの空き枠を活用し、イベント等公益目的事業以外の貸出しを実施する。