2020年東京オリンピック競技大会を見据えて

世界で活躍するアスリートの育成に向けたスポーツ医・科学的サポートの可能性

シリーズ 女性アスリートを支える 第1回(全3回) 女性アスリートと無月経と骨折 〜エネルギー不足からはじまる重大トラブル〜

2018/12/26

高尾 美穂
高尾 美穂

月経をアンタッチャブルにしない。

男性指導者は、成長曲線やBMIを指導の指標に。
女性指導者は、過去の体験をもとに判断しないこと。

 成長期における慢性的なエネルギー不足は女性ホルモンの変調から初潮の遅れや無月経につながり、骨量の低下を招く。その状況を注視しなければならないのが、ジュニア期の女性アスリートを間近でみている指導者だ。

「月経は女性の健康のバロメーターであり、女性アスリートの指導においても、初潮が来ているか、月経は正常にきているかを把握することが大切です」

 とはいえ月経は女性にとってデリケートであり、その問題に触れることを戸惑う男性指導者が多い。

「いきなり聞けばセクハラ発言ともなってしまいますが、最近どうも調子が悪くてという選手に対し、「生理は大丈夫?」と聞ける関係性が築けていれば、信頼してさらに詳しい状況も話してくれるでしょう。そうなるためにも男性指導者には、男女のからだの仕組みの違いから女性アスリートの三主徴までしっかり勉強してほしいと思います」

 数字を用いることも有効な指導法になるという。

「女子パーセンタイル成長曲線というグラフがあります。もし中学生で見るからに体つきの細い選手がいれば、毎年学校で測定している身長と体重の記録をそこに書き入れることで初潮のくる時期を予測することができるし、十分成長していないことを伝えることができます。高校生になればBMIが十分生かせます。18.5を切るとアスリートの体型として望ましくないという表現を用いて指導することができます」

 女性指導者にも留意してほしいことがあると高尾氏は言う。

「例えば、生理痛は我慢するものではなくコントロールする時代になっています。でも生理痛で苦しんでいる選手に、自分もそうだったから大丈夫と言ってしまったら、その選手は我慢するしかなくなり、大事なサインを見逃すかもしれません。正しい情報は常に変化していくものです。ぜひ最新の医科学を取り入れてほしいと思います」

公認スポーツドクターの産婦人科医を推奨。

 産婦人科医の中でも女性スポーツ医学を専門とする医師は限られている。初潮の遅れ、月経不順や無月経で婦人科を受診する場合は、公認スポーツドクターの資格を持った産婦人科医に診てもらうことが望ましい。公認スポーツドクターは、公益財団法人 日本スポーツ協会のホームページで検索することができる。
 骨折をした場合、月経異常が伴うのであれば、整形外科と婦人科の併診を考慮すべきである。